第110回「アンガーマネジメント(5)」(2016.7.12掲載)

みなさん、こんにちは。株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのキティこうぞうです。今回もイライラや怒りをうまくコントロールしてストレスを軽減する「アンガーマネジメント」についてお話ししていきます。

今回はまず、みなさんがここ一週間で腹が立ったこと、イライラしたこと、実際に怒ってしまったことなどを3つ書き出してみてください。一週間で思いつかなければ二週間で、二週間で思いつかなければ、一か月でも構いません。ただ、それ以上前になると記憶も気持ちも薄れてくるので、一か月以内で思い出して記入してください。日時や場所を詳細に書き込まなくてもいいので、簡単に内容や出来事や事実だけを記入してください。

書き出していただいたら、次にその3つの怒りやイライラにそれぞれ温度をつけていただきます。温度は0℃から10℃までで、怒っていない状態を0℃、人生最大の怒りを10℃とします。ちなみに、人生最大の怒りは「目の前の相手を殺してしまうくらいの怒り」のことを指しますので、書き出していただいた怒りの温度は1℃から9℃になると思います。

では、記入していただいた3つの温度を見てください。3つとも同じだったでしょうか。多くの方が3つの温度が違っていたのではないでしょうか。そうなんです。怒りにはレベル(強さ)があって、出来事によって怒りのレベルが違うのです。みなさんが記入した温度が1℃から3℃であれば弱い怒り、4℃から6℃であれば中ぐらいの怒り、7℃から9℃であれば強い怒りとなります。強い怒りもあれば、弱い怒りもある。当たり前のことですが、これを理解することがアンガーマネジメントでは重要なのです。

「怒りっぽい人」というのは、怒りにレベルがあることを理解していません。それで、出来事に対して「怒るか怒らないか」で考えてしまい、怒りのレベルが7℃でも5℃でも3℃でも同じ怒り方をする傾向があります。でも、自分の怒りのレベルを理解できれば、「7℃はこの怒り方、5℃はこの怒り方、3℃はこの怒り方」と怒りをうまく配分することができるようになります。

自分の怒りの強さを10段階に分けてレベル分けをすることをアンガーマネジメントでは「スケールテクニック」といいます。スケールテクニックで怒りの強さをレベル分けして、自分の怒りを「見える化」することによって、「怒っているか怒っていないか」の1(イチ)か0(ゼロ)ではなく、自分の「怒り」にも様々な強さがあることに気づき、どの強さの怒りに対してどう対処すればいいか、怒りを相手に伝えるのか伝えないのかなどを客観的に考える機会を得ることができます。

また、自分の怒りを「今の怒りは5℃」と数値化することを習慣づけていくと、次の怒りが発生したときに「この前は5℃つけたので、今日のイライラはそれよりも下だから4℃かな。」というように、だんだんと自分の怒りの数値が相対的に安定してきます。これがスケールテクニックの効果なのです。

怒りを「見える化」することで冷静に怒りを見ることができるようになり、「怒るか怒らないか」ではなく、怒りのレベルに合わせた怒り方ができ、「怒ることは怒り、怒らなくてもいいことは怒らない」という怒りの配分がうまくできるようになります。みなさんも怒りを感じたら、まずはその怒りの温度を測ることを習慣づけましょう。

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