第111回「アンガーマネジメント(6)」(2016.8.9掲載)

みなさん、こんにちは。株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのキティこうぞうです。今回もイライラや怒りをうまくコントロールしてストレスを軽減する「アンガーマネジメント」についてお話ししていきます。

EQ(感情能力)など、人の感情を扱う理論には「6秒ルール」という考え方があります。これは「人の感情のピークは長くても、せいぜい6秒程度」ということです。この考え方は怒りの感情でも同じことがいえます。つまり、人間はカッときたり、頭に血がのぼっても、その怒りのピークは実は6秒くらいしか続かないということです。

みなさんは相手の行為に対して、ついカッとなって反射的に怒ってしまったり、相手に言われた言葉に「売り言葉に買い言葉」で怒ってしまった経験はありませんか。その結果、相手との人間関係が悪くなったり、「あんなことを言わなければよかった」という自己嫌悪に陥ったりしたことはありませんか。

「6秒ルール」を理解したうえで、自分に発生した怒りに対して最初の6秒を待つことができれば、自分にマイナスとなる非建設的な対応や最悪なリアクションをしなくてすむ可能性が高くなるため、アンガーマネジメントでは「カッとなったら6秒待つ」ということを勧めています。つまり、「反射的に怒ってはならない」ということです。

怒りのピークは6秒間しかないので、その間をどう乗り切るかによって、その後の気分は大きく変わります。この6秒間という時間を上手く制御できなければ、さらに怒りを加速させることになります。逆に、この6秒間の怒りをグッとこらえられれば、その後も理性的な対応にスムーズに移ることができることになるのです。

アンガーマネジメントでは、怒りの感情が発生して、それが怒りの行動や言葉に変わるまでの6秒間をいかにやり過ごすかが重要であることがご理解いただけたと思います。では、具体的にこの6秒間をやり過ごす方法を勉強していきましょう。

自分の意に反する相手からの行為や言葉に「反射で怒らない」、「売り言葉に買い言葉で対応しない」ためのアンガーマネジメントのテクニックを「ディレイ(反応を遅らせる)テクニック」といいます。人間はカッときたり、頭に血がのぼると「怒りで何も他のことを考えられない」、「他人の言葉が全く耳に入らない」など、怒りに脳を支配されている状態になります。この状態になったら、とにかくシンプルな方法で怒りから自分の意識を反らす行動が効果的なのです。これがディレイテクニックです。それでは、ディレイテクニックの具体的手法のいくつかを紹介していきます。

1.カウントバック
・怒りを感じたときに心の中で数字を数える。
・100から3を引いて数えたり、英語で数字を数えたりする。
・97、94、91、88、85、82…、、、など。

2.コーピングマントラ
・怒りを感じたときに心の中で呪文を唱える。
・特定の短いフレーズやセリフを自分に言い聞かせる。
・「たいしたことない」、「大丈夫だよ」、「すぐ終わる」、、、など。

3.グラウンディング
・怒りを感じたときに目に入ったものを細かく観察する。
・意識を怒りから離して他のものに釘付けにする。
・ボールペンのペン先、携帯電話の傷を観察する、、、など。

4.ストップシンキング
・怒りを感じたときに頭を真っ白にする。
・思考を停止させるような言葉やイメージを思い浮かべる。
・「止まれ!」と自分に声かけする、白紙をイメージする、、、など。

この他にも、「深呼吸をする」(呼吸リラクゼーション)などのディレイテクニックもあります。鼻から大きく息を吸い、いったん止めて、口からゆっくりと吐き出してみましょう。怒りを感じて小さくなった呼吸を戻すことで、冷静な自分も取り戻すことができます。

さあ、みなさんも怒りを感じたら、まずはディレイテクニックを試してみましょう。

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