第116回「タートルタクシー」(2017.1.10掲載)

みなさん、こんにちは。株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのキティこうぞうです。

最近、東京では「乗れると幸せになれる」という「幸運のタクシー」というのが注目されているようですが、同じく横浜で近頃話題になっている「タートルタクシー」を今回はご紹介します。

タートルタクシーは横浜を中心にタクシーを展開している「三和交通」が提供しているサービスの名称です。タートルは「亀」のことで、タートルタクシーのコンセプトは「ゆっくり走るタートルタクシー」です。みなさんはどんな時にタクシーを利用しますか。
・公共交通機関では行けない場所に行きたいとき
・バスが時間通りに来なくて遅刻しそうなとき
・居酒屋で長く飲み過ぎて終電がなくなったとき
・荷物が多くて電車では移動に手間がかかるとき
・ケガをしたり病気になって体が不自由なとき

タクシーを利用する理由はいろいろありますが、他の公共交通機関が駅や停留所に止まるのに対し、タクシーは「直通で目的地まで行くことができる」というメリットがあります。つまり、私たちがタクシーを利用する共通の目的は「目的地まで最短時間で最短距離にて走ってくれる」ということでしょう。その固定概念をこのタートルタクシーは変えようとしています。

「タートルタクシー」は、通常の他のタクシーと同等の速度で運行しますが、助手席裏に設置した「ゆっくりボタン」を押すと、それを運転手が認識し、通常よりさらにゆっくりと丁寧で快適な運転に移行する業界初の「ゆっくり走るタクシー」です。今までのタクシーは「目的地までいかに早く着くか」というサービスに注力してきました。また、多くの人が目的地までなるべく早く行ってほしいと感じていることも事実です。でも、急いでいないときにタクシーに乗る人にはこんな気持ちもあるでしょう。
「そんなに急いでないから、スピードを落としてほしい」
「お腹に子供がいるから、安全運転で丁寧に運転してほしい」
「体調悪いから、あまり揺れないようにしてほしい」
「急ぐと誰かにぶつかってしまうかもしれないから、安全に」

このタートルタクシーはそんな安心や安全を求める人のニーズをつかんだサービスです。また、タートルタクシーのゆっくり丁寧な運転は車の燃費効率を高めてCO2排出量の減少にもつながる、いわゆる「エコドライブ」でもあるので、乗客はボタンひとつで安心して快適にタクシーに乗車しながら、エコ活動にも参加できてしまうのです。

北海道新幹線が開通し、ますます交通の「スピード化」が進む中、スピードよりも人間が感じる不安や緊張などのストレスに配慮し、安心と安全をコンセプトにした交通が話題になっていることは、スピードが速くなり過ぎた日本をこれからどうしていくのかを私たちが考えるヒントになるかもしれません。今後、横浜でかわいい亀(タートル)のイラストの描かれたタクシーを目にした際は、ぜひ「人と環境に優しい走り」を体感してみてください。

関連記事はこちら