第33回『トーマス・パー』

みなさん、こんにちは。
株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのキティこうぞうです。
今回は「トーマス・パー」についてお話ししたいと思います。

古代エジプトの遺跡の中から見つかった象形文字を解読してみたら、「近ごろの若い者はなっとらん」という文章があったそうです。
いつの時代も年長の人間が若者のやり方に眉をひそめるのは変わらないようです。
今回は、そんなグチを毎日のようにこぼしている中高年の方々に贈るお話です。

昔、イギリスにトーマス・パーという農民がいました。
トーマス・パーの若い頃のことはあまり知られていませんが、彼は若い頃から農業が好きで、遊びや女性には一切手を出さずに農業に専念していました。
そして、私たちで言う「定年」の60才を過ぎても農業をやめることなく、80才近くになっても一人で黙々と仕事に励んでいたそうです。

ところが、その頃はじめて別のものに興味を持ったようです。
それが「女性」でした。
彼は80才で初めて結婚して、一男一女をもうけました。
ところが、彼が112才の時にその妻が亡くなってしまいます。
しかし、彼は122才で再婚、一女をもうけたのです。
そして、彼が151才の時、トーマス・ハワードという伯爵がこのパー爺さんの噂を耳にし、パー爺さんをロンドンに連れて行き、英国王のチャールズ1世に会わせようと思いたったのです。
ロンドンまでの2~3週間の旅の間、旅先でパー爺さんを一目見ようと多くの群衆が集まり、立ち寄る先々で歓迎され、接待を受けたそうです。
ここで、パー爺さんに新たな夢中になるものができました。
それは「ぜいたく」でした。

それからのパー爺さんの生活はガラリと変わりました。
食事も何もかもが「ぜいたく」になってしまったのです。
パー爺さんは英国王から長寿を賞され、終身年金を受ける身となりました。
しかし、人間とは皮肉なもので、それからの彼はまったく働かずに毎日飲み食いざんまいの荒れた生活をするようになり、それがきっかけで彼は「胃かいよう」になってしまい、152歳で亡くなってしまったそうです。

人間は年をとれば確かに体力は衰えますが、気持ちの持ち方によっては、気力は衰えるどころか充実していくものなのです。
そして気力さえ充実していれば、100才を超えても楽しく生活ができるのです。
トーマス・パーも151才までは「農業」という仕事に夢中でした。
また、きっと死ぬ直前まで「女性」に夢中だったのだと思います。
仕事でも女性でも「夢中になること」によって人間は年をとらないのかもしれません。

「近ごろの若い者はなっとらん」などとグチを言っても何も始まりませんし、何も変わりません。
逆にトーマス・パーに比べれば中高年の方々もまだまだ「近ごろの若い者」なのです。
私はみなさんにもトーマス・パーのように仕事や仕事以外のことに対して気力を充実して、健康で長生きされることをお勧めします。
ぜひ、今一度気力を振り絞って、パワーを充実しましょう。

ちなみにトーマス・パーにちなんで、長生きのお酒として生まれたのが、スコッチウィスキーの銘酒「オールド・パー」です。
日本には150年程前に岩倉具視が欧米視察のお土産に持ち帰ったとされています。
もし、ウィスキーが好きな方でしたら、トーマス・パーの長寿にあやかって「オールド・パー」を飲んでみてはいかがでしょうか。

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