第47回明日知恵塾 ブラック企業ってなんだろう?

第47回明日知恵塾(10月7日実施/会場:全電通労働会館(東京都千代田区))は、特別企画として日本労働弁護団事務局長の嶋﨑量弁護士をゲストにお招きし、「ブラック企業ってなんだろう? 職場のトラブル対処法」をテーマに開催しました。学生19名、社会人10名が参加し、嶋崎弁護士のレクチャーを受けながら、ブラック企業の実態等について話し合いました。

 

今回の明日知恵塾は、嶋﨑弁護士のレクチャーと、グループディスカッションの2部構成。はじめにブラック企業の現状について、嶋﨑弁護士が事例等をあげながら解説していきます。それでは、そもそも、ブラック企業はなぜ問題なのでしょうか? 嶋﨑弁護士は以下の2点を指摘します。

 

1.個々の労働者の被る重大な被害

2.長期的に見た社会全体の損失

 

ブラック企業で長時間労働者や休日出勤などが強いられることで、うつ病などの精神疾患で退職する割合が増加するとのこと。また、ブラック企業の過酷な労働環境は、「公正な競争原理が機能しない」「社会全体の雇用の劣化の促進」などの問題が発生し、社会全体での長期的な利益にはならないということでした。

 

そして、嶋﨑弁護士が指摘するブラック企業を見分けるキーワードは“客観的”。採用情報や求人広告などの客観的なデータをもとに、企業を判断するのがポイントとのこと。根拠もなく「感動」「成長」「夢」などの言葉を多用している企業は要注意。労働組合の有無も判断基準の一つになるとのことでした。先輩から話を聞く際も、離職率、残業時間などの客観的な数値を聞き出すことで、ブラック企業の選別につなげられるそうです。

 

グループディスカッションでは5班に分かれ、嶋﨑弁護士が掲げたブラック企業の事例をもとに、学生と社会人が自身の経験を交えながら意見を交わしていきます。それでは、事例のなかの1つをピックアップし、ディスカッションの内容を見てみましょう。

 

【事例】バイト編──(辞めさせてもらえない)どうアドバイスする?

無理なシフトを強要されて授業に支障があるので、バイト先のコンビニを辞めたいと思っています。ですが、店長から、辞めたら罰金を払えと脅かされて、困っています。私はちゃんとバイトを辞められるのでしょうか。

 

各班ともにバイトを「辞められる」「罰金を払う必要はない」が共通した結論で、“正解”とのこと。それでは、具体的なアドバイスとしてあがった代表的な意見を見てみましょう。

 

≪主な意見≫

・契約書の内容を確かめてみる

・ワークルールの知識を身に付け、自己防衛できるようにする

・学生は学業中心であることを店長に理解させる

・店長が言ったことを証拠として残しておく

 

責任感が強く、自分が辞めると周りに迷惑がかかると思う人ほど、ブラック企業の被害にあいやすいとのこと。最後に嶋﨑弁護士は、ブラック企業への対処方法として、以下の3点がポイントになることを伝え、明日知恵塾を締めくくりました。

 

  • 自分を責めない
  • 困ったときには相談を!

相談先:行政機関、(労働者側)弁護士、労働組合、NPOなど

3.証拠を残す!

関連記事はこちら