情報通信業や通信建設業などに従事する労働者が組織する産業別労働組合である情報産業労働組合連合会(中央本部:東京都千代田区、中央執行委員長:安藤京一、以下「情報労連」)は、終戦から80年という重要な節目を迎える今年、戦争・被爆体験者の減少により、戦争の惨禍や歴史が風化しつつある現状を受けて、過去の教訓を次世代へと継承し、平和の尊さを再確認するための「戦後80年」を契機とした、2025年の平和運動の概要をまとめましたので、お知らせします。
【平和運動に関するページ】https://www.joho.or.jp/category/contribution/peace
1.「平和教材のデジタルアーカイブ化」
平和学習にアクセスしやすい環境を提供するため、情報労連および構成組織がこれまで作成してきた平和運動に資する書籍やビデオなどの100点以上の教材を収集し、オンライン上で閲覧できるアーカイブを構築。
2.「未来につなぐピースMap」作成
地域に根ざした平和意識の醸成のため、日常生活の中に残る戦跡や平和に関連する場所の情報を組合員から収集し、一覧化した「ピースMap」を作成。
3.「メタバースでの親子学習会」
次世代型の平和教育のため、広島の平和記念公園などを模したメタバース空間を活用し、親子で平和について学ぶオンライン学習会を開催。
さらに、例年の取り組みである、沖縄、広島、長崎、北海道(北方領土)の現地で平和学習会などを行う「情報労連平和四行動」についても引き続き継続し、現地での体験を通じた深い学びを提供していきます。
<背景>
2025年は、終戦・被爆から80年という大きな節目を迎える年です。戦争の記憶が薄れつつある一方で、平和の大切さを改めて問い直し、未来に向けてその教訓を継承する重要な一年となります。国際情勢が揺れ動く現代において、平和の意義を社会全体で共有し、行動に移すことが求められています。
情報労連は、情報通信業や通信建設業に携わる労働者が集い、働く人々の権利と暮らしを守ることを目的として結成された産業別労働組合です。その活動の根底には、「平和なくして労働運動なし」という強い信念があります。
「創り育てる平和」をシンボルフレーズに掲げる情報労連は、一人ひとりの行動を通じて平和を実現することを目的に、長年にわたり平和運動に取り組んできました。その活動は、情報労連に加盟するNTT労働組合の前身組織である全電通(全国電気通信労働組合)の取り組みに端を発しており、現在までに75年の歴史を積み重ねています。中でも「平和四行動(沖縄ピースすて~じ:1993年開始、広島ピースフォーラム1989年開始、長崎平和フォーラム:1990年開始、北方領土返還要求平和行動IN根室:1988年以降開始)」には、累計で2万人以上が参加し、組織の枠を超えて多くの組合員が平和の実現に向けた意識を共有してきました。
終戦80年という歴史的な節目を迎えた今年、情報労連はこれまでの経験をさらに発展させ、未来に向けた新たな平和運動をスタートさせます。この取り組みを通じて、社会全体が平和の大切さを共有し、行動につなげるきっかけを創出することを目指しています。
<2025年の平和運動 詳細>
■1.平和教材のデジタルアーカイブ化
情報労連ならびに構成組織は、過去から平和運動を強く推進し様々な書籍やビデオなどの教材を作成しておりますが、一元的に管理されていなかったことから、戦後80年の節目にあわせ、これまで作成してきた100点以上の教材を整理、一覧化するとともに、デジタル化、オンライン化します。これにより、組合員などが教材にアクセスしやすい環境を整備するとともに、貴重な教材の散逸、破損を防止します。
■2.「未来につなぐピースMap」作成
身近に残っている戦争に関わる慰霊碑や戦跡、資料館などの情報(名称、所在地、写真など)を組合員から収集し、一覧化します。収集の過程や完成した地図を見ることで、身近な場所にも多くの戦禍が存在したことを改めて認識するとともに、戦争や平和について考えるきっかけを提供します。
■3.「メタバース親子学習会」
広島の平和祈念公園などを模した「メタバース」を作成します。平和に関する施設を訪れることは、戦争や平和について考える貴重な機会ですが、現地への訪問が難しい場合もあります。そこで、自宅のPCやスマートフォンからアクセスできる「メタバース」に、広島の平和祈念公園などを再現します。
このメタバース空間では、戦禍の実態を学べる解説動画や、学んだ内容を振り返るクイズなどを用意しており、ゲーム感覚で楽しめる操作性が特長です。そのため、子どもたちも気軽に触れやすく、夏休みなどに親子で利用することを想定しています。
■担当コメント
戦後80年の節目に実施する企画を検討するとき、初めに考えたのは戦争体験世代の証言を聞く最後の機会ではないか、ということでしたが、そのあとすぐに、その方々は、これまでも証言してきているのではとの考えが、頭をよぎりました。実際、探してみると、多くの記録や資料が残っており、直接証言を聞くことと同様に、これらの資料を残し活用することもまた重要だと考えました。
また、それと同様に普段は気づかないけれど、少し探してみると自分たちの生活のすぐ近くに驚くほど多くの戦争の痕跡をみつけることができました。自分が知る土地に残る戦禍を見て知ると、過去に戦争があった事実がよりリアルに感じられます。このことを多くの組合員にも体感してもらいたいです。
普段の暮らしの中で、平和や戦争について常に考え続けることは難しいですが、80年の節目等を契機に少しでも平和について考えることは非常に重要だと思います。そうやって、戦争を、そして平和運動を続けていくことを忘れないようにすることが、私たちがシンボルフレーズとする「創り育てる平和」の実現の一歩だと考えます。
■情報労連平和四行動
情報労連は、「平和なくして労働運動なし」との基本認識のもと、在日米軍基地整理縮小と日米地位協定の抜本的見直し、核兵器の廃絶、領土問題の早期解決ならびに世界の恒久平和に向け、継続して平和運動に取り組んでおります。とりわけ特徴的な取り組みが、戦争の悲惨さ・平和の尊さを現地で実感し、参加者が再発信する「平和四行動」です。沖縄、広島、長崎そして北海道(北方領土)において毎年60〜130人にのぼる参加者を募り、平和学習会などを開催しています。
※ 2024年の平和四行動の概要動画
<2024年の開催実績>
- 2024沖縄ピースすて~じ
- 日 程:2024年6月23日(日)~25日(火)
- 参加者:115人
- 内 容:
【1日目】連合2024平和オキナワ集会、結団式
【2日目】戦跡・基地学習行動(糸数アブチラガマ、嘉数高台、瀬嵩の浜・辺野古漁港⇒道の駅かでな)
【3日目】慰霊式(逓魂之塔)戦跡学習(平和祈念資料館、平和の礎、ひめゆりの塔、魂魄の塔)平和学習(講演、解団式)
【開催報告】https://www.joho.or.jp/contribution/post-10856-10856
- 広島ピースフォーラム2024
- 日 程:2024年8月4日(日)~6日(火)
- 参加者:約150人
- 内 容:
【1日目】導入学習、被爆体験証言、特別講演、情報労連慰霊式(基町ビル、比治山ビル、袋町ビル)
【2日目】ピースウォーク、平和記念資料館見学、被爆建物見学、連合2024平和ヒロシマ集会
【3日目】黙祷(「広島市平和祈念式典」放映)、被爆体験記朗読、まとめ集会
【開催報告】https://www.joho.or.jp/contribution/post-10891-10891
- 第35回長崎平和フォーラム
- 日 程:2024年8月7日(水)~9日(金)
- 参加者:約150人
- 内 容:
【1日目】学習会第1部(被爆体験講演、長崎原爆資料館見学)
【2日目】被爆遺構めぐり、学習会第2部(講演、万灯・折り鶴作成、戦争体験記朗読、連合2024平和ナガサキ集会)
【3日目】被爆後79年電通労働者原爆被爆死没者慰霊式
【開催報告】https://www.joho.or.jp/contribution/post-10932-10932
- 2024北方領土返還要求平和行動IN根室
- 日 程:2024年9月7日(土)~8日(日)
- 参加者:約70人
- 内 容:
【1日目】情報労連平和学習会(領土問題学習、元島民二世講演、特別講演)、夕食交流会
【2日目】連合2024平和ノサップ集会(望郷の岬公園)・DVD上映・資料館見学・まとめ集会
【開催報告】https://www.joho.or.jp/contribution/post-10962-10962
■情報労連の平和運動に関する参考ページ
『戦後75年』平和行動特設ページ
情報労連リポート(※)2024.08-09月号 特集「世界の戦争/紛争と日本の平和運動」
(※)情報労連は毎月発行する機関誌
http://ictj-report.joho.or.jp/2408-09/
情報労連リポート2023.08-09月号 特集「平和の訴えを止めない 安全保証環境の変化と平和運動」
http://ictj-report.joho.or.jp/2308-09/
情報労連リポート2022.5月号 特集「沖縄復帰50年復帰に託した願いと次の時代に託す思い」
http://ictj-report.joho.or.jp/2205/
情報労連リポート2020.08-09月号 特集「平和運動の新展開」
http://ictj-report.joho.or.jp/2008-09/
情報労連リポート2018.5月号 特集「『平和四行動』に向けていま知っておきたいこと」
http://ictj-report.joho.or.jp/1805/
■情報労連について
情報労連は、情報通信・情報サービス産業、通信建設業を中心とした産業別労働組合で、NTT労組、KDDI労組、ソフトバンク労組などが加盟し、約230組合、19万人の組合員で構成しています。また、「複合産別」として、印刷・運輸・ 製造・建築・ビルメンテナンス・医療・福祉などの労働組合も加盟しています。
「私たちは、信頼と共感を礎に、社会的価値ある労働運動を推進し、誰もが暮らしやすい社会の実現をめざします」を基本理念に据え、組合員のみならず、すべての人が安心して暮らし、働き続けられる社会の実現に向け、様々な活動に取り組んでいます。
■情報労連の概要
名称:情報産業労働組合連合会(情報労連)
所在地:〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-6 全電通労働会館5階
組織人員:233組合、約19万人(2024年10月現在)
加盟業種:情報通信・情報サービス・通信建設・印刷・運輸・製造・建築・ビルメンテナンス・医療・福祉など
目標:情報労連は信頼と共感を得る産業別労働組合として「産業政策」の確立と実現とより多くの仲間を結集する「組織拡大」を重視しています。雇用や労働条件の方向性を明示して安心感を醸成すること、そしてより多くの仲間が集まることによって、より大きな力を発揮することが産業別労働組合の役割だと考えています。
■本件についての報道関係のお問い合わせ先
情報労連中央本部 運動推進局 担当:永渕
TEL:03-3219-2231 E-mail:suishin@joho.or.jp