第28回 思いっきり挑戦してみよう

 

12月8日、第28回明日知恵塾が東京しごとセンター(千代田区飯田橋)で開催され、学生26名、社会人14名が参加しました。
今回のテーマは『失敗したらどうするの?』。
失敗は誰でもなるべく避けたいと思うもの。失敗して落ち込むのは、学生でも、社会人でも変わりません。
それでは、社会人は仕事の失敗に対して、どのように対処しているのでしょうか。

本題に入る前に、仕事現場の紹介企画「社会人の一日」からスタート。今回プレゼンテーションを行ったのは、富士火災海上保険労働組合の岩田明久さんです。
損害保険に関わる仕事は、企画提案、示談交渉、保険金支払いなど多種多様。専門スタッフが連携を取りながら、保険契約者や被害者に対応しています。
岩田さんの一日は、事故の初動調査、弁護士への相談、代理店交渉など、休む暇なく過ぎていきます。そんな岩田さんも入社当初は失敗があったとか。
「飛び込みではじめて営業したところが、すでに当社の代理店さんだったのです。『そのぐらい調べて来い』と、こっぴどく怒られました」
誰にでも若い頃の失敗談の1つや2つはあるものなのですね。

今回、ナビゲーターを務めたのは、法政大学大学院教授の藤村博之さんと跡見学園女子大学准教授の禿あや美さんです。
2人からはじめに出された議題は、『これまでの失敗談』。学生と社会人は7つのグループに分かれ、ディスカッションのスタートです。
お互いに自己紹介を済ませていたため、グループ内には多少の緊張感はあるものの、堅苦しさは見られません。
なごやかな雰囲気の中、ディスカッションは進んでいきます。それでは、どんな失敗談が話し合われたのか、ピックアップしてみましょう。

  • 契約金を一桁多く払ってしまった。
  • FAXの番号を間違え、書類を違うところに送ってしまった。
  • 車高を考えず、店の看板にぶつけてしまった。

失敗が起きたときの原因として、各班から共通して挙げられたのは“確認不足”。社会人には必須となる「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」が欠けていたようです。
それでは、「【1】なぜ確認不足は発生し、【2】どうすれば防げた」のでしょうか。各班から出された代表的な意見を挙げていきます。

【1】なぜ確認不足は発生するのか

  • 近寄りがたい先輩とはコミュニケーションが取りづらいから。
  • メールの送りっぱなしや返信忘れ。
  • 相手を信用し、頼りきってしまう。

【2】どうすれば確認不足は防げたのか

  • 目上の人への対応方法を考え、連絡を密に取る。
  • 状況に応じて、最適の確認ツール(電話、メール、対話など)を選択する。
  • 人任せにせず、必ず再度チェックする。

ディスカッションで挙げられた意見を受け、禿さんと藤村さんのそれぞれが「失敗に対する考え方」を述べ、今回の明日知恵塾は締めくくられました。

「失敗に対してどんなに万全な体制をとったとしても、ゼロにすることはできません。失敗から学び、失敗をチャンスに変えることが大切になってきます。各班からは、失敗の原因として、コミュニケーション不足が挙げられました。社会人と学生が対話できる明日知恵塾のような場に積極的に参加し、コミュニケーション能力を磨くことも必要なのでしょう」(禿さん)

「個人も企業も8勝7敗で進んでいけば、少しずつでも上へと向かえます。相撲にたとえれば、よほど強い横綱でないかぎり15戦全勝はできません。けれども最近は勝てる勝負にしか土俵に上がらず、不戦敗で終るケースが多いのです。不戦敗からはなにも学べず、なにも得られせん。7敗できるのですから、失敗を恐れず思いっきり挑戦してもらいたいです」(藤村さん)

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