第37回『魚とストレス』

みなさん、こんにちは。
株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのキティこうぞうです。
今回は「魚とストレス」について考えてみたいと思います。
まずは高級魚「フグ」です。

フグはもともと毒のない魚だそうです。
フグが海底のヒトデや貝などの毒のある物を食べて、その毒が蓄積するそうです。
敵に攻められてストレスを感じると溜め込んでいた毒を放出します。するとフグを食べようとしていた大型の魚はその毒を察知して食べるのをやめようと思うのだそうです。フグは自分の身を守るために体内に毒を蓄えるのです。

しかし、陸上に水槽をつくって、エサに無毒のアジやオキアミを食べさせれば毒のないフグになります。
敵に攻められるというストレスがなくなるからです。
ただ、そのような養殖フグは自由に動けないストレスから「かみ合い」という行動を起こします。
かみ合いを防ぐためには面倒ですが1尾ずつ「歯切り」をするそうです。
天然フグにはこうした行動が見られないことから、フグ毒が「精神安定剤」の役割を果たしているのではないかとの説もあります。実際に、毒の入ったエサを養殖フグに与えるとかみ合いはなくなるそうです。

次は、中国からドジョウを日本に輸入する時の話です。
ドジョウを水槽に入れて空輸すると、移動中の振動などのストレスで80%が死んでしまうそうです。
ドジョウの生存率を高めるために取られた対策はドジョウの天敵であるナマズを同じ水槽に入れることでした。
その結果、20%のドジョウはナマズに食べられてしまいましたが、1匹のドジョウも死ななくなり、生存率は一気に80%になったそうです(岡本吏郎著「稼ぐ超思考法」フォレスト出版より)。
ナマズににらまれているというストレスがドジョウの生存率を高めるのです。

最後にウナギとストレスのお話です。
最近、日本で長年の研究の末にウナギの完全養殖に成功したというニュースが流れていますが、現在のウナギの養殖はウナギの稚魚(シラスウナギ)を捕獲してそれを育てています。
ウナギは生まれた時からオスとメスに別れるのではなく、稚魚から成長していく過程で決まるのですが、養殖されたウナギはストレスがたまってほとんどがオスになってしまうそうです。
つまり、養殖ウナギはオスばかりなので完全養殖が難しかったのです(ちなみにエサと一緒に女性ホルモンを与えることでメスのウナギができたそうです)。
ストレスが多いとオス、少ないとメス・・・う~ん、人間社会はどうでしょう。

いずれにしても、人間が魚に人為的なストレスを与えることによって、さまざまな影響が出ているようです。
おいしいその味で私たちのストレスを癒してくれる魚たちはこのようなストレス生活を経て、私たちの口に入るのです。
魚たちに感謝です。
今後はこんなことを考えながら魚を食べたら一味違う味わいがあるかもしれません。
今年の夏はぜひストレスたっぷりのオスのウナギを食して、それをエネルギーにして元気に夏の暑さを乗り切りましょう!

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