第39回『イップス』

みなさん、こんにちは。
株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのキティこうぞうです。
今回は「イップス」について勉強していただきます。

あなたは「イップス」という言葉をご存知ですか。
イップスは「おびえた子犬がキャンキャンほえる」という意味の「YIP」が語源で、もともとはゴルフから来ていますが、練習では何でもない短いパットが筋肉の緊張のあまり震えて打てなくなったり、逆に強く打ってしまいボールがカップをはるかにオーバーしてしまうことをいいます。
イップスは現在ではゴルフだけでなく野球、テニス、アーチェリーなど腕の筋肉や手首や指先を精密に使うスポーツや音楽奏者にも症状が広がっています。

人間は「入って当たり前」と思われるパットを打とうとしたときに、脳から出た「打ちすぎるな」と「強めに打て」という2つの指令のどちらを選ぶことになります。
そのようなプレーを繰り返していくと、脳はミスパットすることを事前に察知して、「打ってはいけない」とその逆の「もっと打たないと届かない」の全く異なる信号を同時に出し続けるようになってしまうのです。
そこで、こころと体が連動しなくなって体が思うように動かなくなります。
また、一度その症状が出ると「また起こるのでは」と予期不安からさらに症状を引き起こし、意識すればするほど自然な動きがわからなくなってしまうのです。

イップスはわかりやすく言うとパソコンのフリーズと一緒です。
人間の体に脳から一度に幾つもの命令が来て、どれに従っていいかわからなくなってフリーズするのです。「ミスをしてはいけない」「失敗してしまったらどうしよう」などと考えすぎると筋肉がフリーズしてしまうのでしょう。
ちなみに、イップスになる人の多くは社交的で陽気、まじめ、負けん気が強く、対人関係に気を遣う人が多いそうです。
まさに、うつ病などのこころの病になりやすい性格の人が苦しむようです。
ある意味ではうつ病も「行動や思考がフリーズした状態」なのかもしれません。

あなたも仕事でイップスと同じような状況に陥ったことはありませんか。
仕事でミスや失敗をしたときに自分を責めて「もうミスは許されない」などと考え、次の仕事をチャレンジしようとするときに「やってみよう!」と思う気持ちと「失敗したらどうしよう」という気持ちが同時に浮かんできて、仕事が進まなくなるということを。
たぶん自分を責めることによって奮起して、さらに頑張ろうとおもっているのでしょう。
しかし、機械であればどんどん自分の失敗を責めて少しでもミスを減らすようにするべきでしょうが、人間は機械ではありません。
いつも自分を責めているとこころや体がフリーズするようになり、簡単な仕事でもチャレンジできなくなるのです。

このように、イップスに似た症状が仕事でも起こります。
現在、イップスを完治する方法はありませんが、効果的な克服法としてドイツのシュルツが考案した「自律訓練法」により潜在意識に働きかける方法やアメリカのジェイコブソンが紹介した「筋弛緩法」で筋肉をリラックスする方法、「瞑想」や「座禅」などのイメージトレーニングがあります。
あなたも仕事でミスや失敗が続くようなら、フリーズしないようにこれらのイップス克服法を試してみてはいかがでしょうか。

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