第80回「パッチ・アダムス」

みなさん、こんにちは。株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのキティこうぞうです。今回は、私の大好きな映画の一つである「パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー」をご紹介します。この映画は、ユニークな治療法で人々のこころと体を癒す実在の精神科医「パッチ・アダムス」の若き日を描いたヒューマンドラマです。

自殺未遂の果て、自らの意志で精神科に入院したアダムスは患者たちと一緒に過ごすうちに、ジョークで人を笑わせることが患者のこころを癒す効果があることに気づきます。彼にこころを癒された患者の一人が彼に「パッチ(傷を治す)」というニックネームをつけました。そして、一度は人生に挫折しかけたアダムスは自らの人のこころを癒す能力に目覚め、医学の道を志します。ヴァージニア大学の医学部に入学したアダムスは白衣を着て病院に侵入し、患者たちをさまざまな方法で笑わせ、患者たちの人気者になっていきます。また、最初のうちはアダムスの行動に理解がなかった病院の看護師たちでしたが、看護師たちも手を焼いていた「困った患者たち」の態度がアダムスの笑い療法によって少しずつポジティブに変わり、病気の症状が和らいだりしていくことに気づき、アダムスの行動を温かく見守るようになっていきます。

アダムスは映画の中で笑うことがこころに与える効果をこう語っています。「笑いは鎮痛作用蛋白の分泌を促進し、血液中の酸素を増し、心臓を活性化し、血圧を下げ、循環器疾患に良い効果を与え、免疫力を向上させます」と。また、アダムスは病院の手続きや高額な医療費など、現在の医療システムに疑問を持ち、もっと「開かれた病院」に変えていく必要性を主張しはじめます。一方で、大学の同級生の女性に心を引かれ恋に落ちていきます。その女性もアダムスの人間性に引かれ、いつしか恋人関係になります。アダムスは彼女と夢に見た無料診療所を開設します。こうしてアダムスは彼女と共に自分の夢に向かって進んでいったのですが、ある日彼女の身に大変なことが起こります…(この続きは映画でご覧ください)。

ちなみに、パッチ・アダムスと同じく笑いで人のこころを癒す取り組みをしている日本人に先日お会いしました。「大棟耕介(おおむねこうすけ)」さんです。大棟さんはNPO法人日本ホスピタル・クラウン協会の理事長としてクラウン(道化師)のパフォーマンスチームを率いてイベントを行なったり、自らが笑いの効果や重要性について講演をしたりと、名古屋を起点に全国で活躍されています。講演回数だけでも私と同じく年間に200回ほどあるそうです。このコラムをお読みの方で、大棟さんのイベントに参加してご自身が笑いによって癒されたい方、そしてセミナーやイベントで大棟耕介さんを呼びたいという方は是非ご本人のHPからお問い合わせください。
http://www.pleasure-p.co.jp/ohmune/plof.htm

最後になりますが、アダムスは映画の中で若き医学生たちにこう語っています。「医学部では医療ミスをしないために人間性を排除して理性的に患者に接することを教わるが、医者はもっと患者と触れ合うべきだ。医者の使命は死を遠ざけることではなく、生を高めることだ。患者に無関心な医者になるな。生命の奇跡は本の中ではなく、人間の偉大なるこころと体の中にある。君たちを医者にしてくれるのは成績や単位じゃない。教授でもない。患者だけが君たちを医者にしてくれるんだ。医者になる前にまずは人間になれ」と。現代の医学を批判するわけではありませんが、うつ病などの「こころの病」の治療が薬に頼りすぎていることに少し憂いを感じます。こころの病の新たな治療法が普及することを私は切に望んでいます。

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