第50回『つらいときは下を向く』

みなさん、こんにちは。
株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのキティこうぞうです。
今回は、ある車のセールスマンのお話です。

そのセールスマンは車の知識が豊富で優秀なセールスとして、会社でも一目置かれていました。
知識が豊富なだけではなく、セールスとしての技術も持っていて、お客様が車を購入するか悩んでいるときの「押し」がうまく、車の販売台数も会社でトップクラスでした。
しかし、そんな状況が何年も続く間に、彼はお客様のことを考えない強引な販売をするようになり、販売後の苦情の件数も増えていきました。
そんな彼でしたが、車の販売台数はどんどん伸びていくので、社内だけでなくお客様の前でも高慢な態度をとるようになり、どこに行っても鼻高々に胸を張って歩いていました。

ところが、世界同時不況が起こり、自動車業界にも影響があらわれ、彼の車の販売台数も激減しました。
相変わらず強引な販売方法を続けましたが、それが逆効果にもなり、車が全く売れなくなったのです。
毎日、何軒も何軒も訪問するのですが、車がいっこうに売れない日々が続きました。
いつも胸を張って上を向いて歩いていた彼も、いつしか下を向いて歩くようになっていきました。

そしてある日、下を向いてトボトボと歩いていたときに気づいたのです。
「あれ、何でこんなに毎日歩いているのに僕の靴は汚れていないんだろう」と。
家に帰ったときはいつも汚れているのに、朝出かけるときにはキレイになっていたのです。
実は、彼が眠ったあとに、毎晩彼の奥さんが彼の靴を磨いていたのでした。
それを一言も言わずに、毎朝「今日もがんばってね」とニコニコと見送ってくれていた奥さんの心遣いに彼は心打たれました。

それからというものの、彼は変わりました。
お客様の前ではいつも頭を下げ、お客様の話をよく聴き、帰り際にはお客様の見えないところでお客様の車の窓を拭くなどの心配りを忘れないセールスに変身したのです。
すると、全く売れなかった車が次々と売れるようになり、再び会社のトップセールスに戻ったそうです。
めでたし、めでたし。

「つらいときこそ上を向け!」と自分を鼓舞させるようなアドバイスばかりする人もいますが、時には落ち込んでいる自分を受け入れさせて、下を向かせることも大切だと思います。
下を向きながら今までの自分を省みることにより、いろんな気づきや新しい自分の発見を得ることができます。
みなさんもたまには下を向いて歩きながら、下に落ちている自分に必要なものを拾ってみましょう。
もしかしたら、お金が落ちているかもしれませんよ。

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