みなさん、こんにちは。株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのキティこうぞうです。今回はまず「あったらいいなをカタチにする」をブランドスローガンにしている小林製薬の小林一雅会長の言葉で「ノミの実験」という話からご紹介します。
ノミは体長2mmの小さな虫ですが、跳躍力が強く、ビーカーの中に何匹かノミを入れてもすぐに全てのノミが外に飛び出してしまいます。しかし、ビーカーの上にガラスの蓋をすると、ノミはコツコツと頭をぶつけることになり、最後には諦めてしまいます。これをしばらく続けていると、ガラスの蓋を取り除いてもノミは一匹たりとも外に飛び出そうとはせず、中でピョンピョン小さく跳ぶだけになってしまいます。すなわち、ノミには「ビーカーから外へは出られない。跳べば頭をぶつけてしまうだけだ。」という固定概念ができ上がってしまうという話です。我々人間や組織もこのような固定概念や思い込みを持たないように、絶えず現状を否定して新しいことにチャレンジしていくことが必要であると考えています。同じことを、同じように長い期間続けることがないようにして、「小林製薬は何をするかわからない」ということを小林製薬の魅力としたいと考えています。
次の実験対象は「カマス」という魚です。水槽に腹のすいたカマスを入れ、水槽の中央にガラスの仕切りをして、カマスと反対側に好物のエサである小魚を入れておきます。カマスはエサを食べようとして突進しますが、真ん中のガラス板に鼻をぶつけてしまいます。再度そのエサに向かっていこうとしますが、またまたガラス板に阻まれてしまいます。それをくりかえしているうちに、カマスは鼻の頭を痛め、とうとう断念してしまいます。そこで、仕切りガラス板を取りはずしても、カマスは腫れあがった鼻の痛みにこりて、二度とエサに食いつこうせずに餓死してしまうというのです。
ノミやカマスだけでなく、このような習性は多くの動物が持っています。それでは人間はどうかというと、これは人間の世界にもあてはまるようです。私たち人間もこころの中に自分自身の限界としてのガラス板をもっています。この見えない壁が、人生や仕事のさまざまな場面で私たちの行動を制限し、人間誰しもが本来もっている素晴らしい可能性を押さえ込んでいるのです。さらにこの固定概念はコミュニケーションをさまたげ、円滑な対人関係を阻害する大きな原因ともなっている場合があります。あなたは「これは、こういうものだ!」「やってもできないだろう!」「どうせ無理に決まっている!」と物事を思い込みで判断していませんか。確かに何かやろうとする時の前向きな行動にはリスクがつきものです。しかし、リスクや失敗を恐れていては、この不確実性の時代は乗り切れません。私たちは常にチャレンジする気持ちを忘れずに、しかも結果を恐れずに物事に取り組んでいくことが大切です。決して「カマス人間」にならないように、前へ前へと進んでいきましょう。
ちなみに、先ほどの水槽に別の元気なカマスを1匹入れてみるとどうなるか。新しいカマスはカラス板を経験していないから、ためらうことなく小魚を食べ始めます。すると、この行動が無気力になったカマスにも影響を与えます。新しいカマスの行動を見て、自分も小魚にアタックし始めるのです。私たちは環境次第で能力が発揮できたりできなかったりするカマスを笑うことはできません。周りの人たちに「うちの会社じゃ、そのアイデアは無理だよ」「時間がないから、また考えておくよ」「前にもやったけど、ダメだと思うよ」と言って、気づかぬうちに自分自身が周りの人たちのガラス板になっていないか、そして、周りの人たちのために自分が新しいカマスになれるかどうか、一度考えてみましょう。