第119回「こんにゃくメンタル」(2017.4.11掲載)

みなさん、こんにちは。株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのキティこうぞうです。

ギフト商品の企画・販売からテーマパーク事業まで手掛ける株式会社サンリオが自社キャラクターの人気投票である「第31回キャラクター大賞」を実施し、昨年6月にその結果が発表されました。その結果で第4位になったキャラクターが「ぐでたま」です。

「ぐでたま」は2013年に誕生し、2014年の「第29回キャラクター大賞」では初登場で第7位になっている人気キャラクターで、キティやミッキーなどの動物キャラクターや地域の名所や名物をデフォルメしたような「ゆるキャラ」が人気のある中で、生卵の黄身と白身という珍しい「食べキャラ」です。また、「だりぃ」や「ホントムリだから」などのやる気のないネガティブな言動が特徴的な異色なキャラクターで、そのセリフやメッセージが本になって発売されています。その本の中には「ぐでたま」のこんな紹介があります。

味、つや、弾力、栄養価、バリエーション豊富な調理法など、さまざまな点においては優秀ですが、ただ食べられるだけの運命に絶望し、競争社会で生きることをあきらめている。その姿は、まるで、優秀なのにもかかわらず不景気な現代社会に絶望し、就活もせずうだうだ家でネットしている、ゆとり世代の若者のよう。ゆでるもよし、焼くもよし、生のままでもよし。いろんな調理法があるけれど、ぐでぐでやる気のないたまごなのだ。(大和書房「ぐでたま哲学」)

あー、しんどい。欲を持ったら「質素であれ」と叱られ、持たなかったら、「貪欲になれ」とあおられる。お酒を飲めば、「健康に悪い」とたしなめられ、断れば、「付き合いが悪い」となじられる。~(中略)~世の中は矛盾に満ちていて、世間はとっても渡りにくい。でも、忘れないでください。ふと立ち止まりたくなったとき、すべてを放り出して逃げたくなったとき、あなたの下には、こんな「ぐでたま」がいることを・・・。(大和書房「ぐでたま哲学2」)

「ぐでたま」は、基本的には生卵のキャラクターですが、ゆで卵や目玉焼きや温泉卵に変化したり、時にはオムレツ、茶わん蒸し、だし巻き玉子の寿司、マヨネーズ、カステラ、プリンなどにも変身します。それぞれキャラクターのやる気のないセリフがこころを癒してくれます。中でも、私が一番お気に入りなのが玉子豆腐のキャラクター「おとうふメンタル」です。

「おとうふメンタル」はもともと、あるアニメの登場人物が精神的に弱いことに対して「豆腐メンタル」と呼ばれたことをきっかけに、SNSなどで「豆腐メンタルで仕事についていけない」などとつぶやかれるようになり、使われはじめた言葉だと思われます。まるで豆腐のように非常に弱い精神状態を指す言葉ですが、ぐでたまの「おとうふメンタル」も、少し箸でつつかれるだけで、脆く崩れてしまいそうな癒しのキャラクターです。

「おとうふメンタル」は食べキャラとして見る分には癒しになりますが、自分のこころがちょっとした不安やプレッシャーによって壊れてしまう「おとうふメンタル」では、仕事や生活で毎日ストレスを感じてしまいます。かといって、どんな不安やプレッシャーでも壊れない鋼鉄のような「こうてつメンタル」のこころを持っていたとしても、人のこころの弱さが理解できずに、仕事や生活での人間関係で苦労するでしょう。

私が理想とするのは、一見豆腐のように柔らかそうに見えるが、どんな不安やプレッシャーでも柔軟に対応できる蒟蒻のような「こんにゃくメンタル」を持つことだと思います。みなさんも自分が困難な状況や逆境に置かれたときに、その不安やプレッシャーをはね返すような硬い「こうてつメンタル」ではなく、それを柔軟にしなやかに受け流す「こんにゃくメンタル」を持つようにしましょう(終)。

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