第54回『こころの掃除』

みなさん、こんにちは。
株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのキティこうぞうです。
年の瀬になって、どこの会社や家庭でも「大掃除」の時期になってきました。
そこで、今回は「こころの掃除」という有名な法話をご紹介します。

昔、インドに掃除をしながら悟りを開いたお坊さんがいました。
お釈迦さまの弟子のシュリハンドク(周利槃特)という名前のお坊さんです。
このお坊さんはとても物覚えが悪くて、朝聞いたことも夜になると忘れてしまう上、自分の名前も覚えられないほどでした。
だから、他の弟子達からいつも馬鹿にされていました。

あるとき、お釈迦さまがシュリハンドクを呼んで「おまえにはむずかしいことを教えても覚えられぬであろう。だから、つぎの言葉だけを覚えなさい」と言いました。
そして、シュリハンドクに一本の箒(ほうき)を与え、「塵(ちり)を払い、垢(あか)を除かん」(塵を払い、垢を除いてきれいにしよう)という言葉だけを教えたのです。

それからというもの、シュリハンドクは箒で各所を掃除しつつ、一心にこの句を唱えました。ある日、いつものように庭を掃いていると、お釈迦さまが「ずいぶんきれいになったね。
だけど、まだ一ヶ所汚いところがあるよ」と声をかけたのです。
シュリハンドクは「どこが汚いのですか」と尋ねましたが、お釈迦さまは教えてくれません。
「はて、どこだろうなあ?」と思いながら、それからもずっと「塵を払い、垢を除かん」と言いながら掃除を続け、数年たったある日、はたと気がついたのです。

お釈迦さまはなぜ自分に掃けといったのか。
それは結局、「自分のこころの掃除をしなさい」ということだったのだなあということに気づき、「そうか、汚れていたのは自分のこころだったのか」と悟ったというのです。外にある「塵」「垢」ではなく、こころの「塵」「垢」、「欲望」と「怒り」と「愚痴」こそ、すべての人が向き合うべきものだと気づいたのです。
そして、シュリハンドクが顔を上げると、お釈迦さまが彼の後ろに立っていて「やっと全部きれいになって良かったね」と言ったそうです。

こうして何十年という歳月が流れました。
シュリハンドクは自分のこころの塵と垢をすっかり除くことができ、ついに菩薩の一歩手前の阿羅漢(聖者の位)にまでなったのです。
みなさんもこの年末にかけて家庭や職場の掃除と一緒に自分のこころの掃除をして、来年からさわやかな気持ちで仕事をスタートしましょう。
ちなみに、シュリハンドクの死後、墓の周りにミョウガが生えました。
「ミョウガを食べると物忘れする」という言い伝えはここからきたようです。

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