みなさん、こんにちは。株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのキティこうぞうです。
今回は私が以前、お坊さんの法話で聞いたチョットいい話をご紹介します。現在、大学生の就職活動が始まっていますが、この話は今から40年ほど前に「就活」していた学生のお話だそうです。ぜひ、就活中の大学生に伝えてあげてください。
ある企業の就職試験を受けた学生が面接試験で社長から「君は不採用」といわれました。その学生が肩を落として帰りかけると、社長は「すまないが、明日この時間にもう一度ここへきてくれないか。しかし、ひとつ条件がある。それまでに、親の体をどこでもいいから洗ってきてほしいのだが、できるか」といいました。その学生は「はい、なんでもないことです。やってきます」と喜んで答え、家へ帰っていきました。
彼が家に帰ると、仕事に出掛けた母親はまだ帰っていませんでした。この学生の家は貧しく、父親はすでに亡くなっています。母親が呉服の行商で必死になって働き続けたおかげで、彼は大学を卒業できるまでになったのです。「帰ってきたら、どこを洗ってやろうか」と考えた学生は、外へ行って足を汚しているに違いないから、足を洗ってやろうと決め、物置からタライを出し、そこに水を張って母の帰りを待ちました。
そこへ母親が帰ってきたので「足を洗ってやろう」というと、元気な母親は「足ぐらい自分で洗うよ」といいます。そこで洗っていかなければならないわけを話すと「そんなら洗ってもらおうか」と納得して、彼のいうままに玄関の軒先に腰を下ろしました。そして、彼が足元にしゃがんで履物を脱がせようと足元をみると、それは自分が中学生の時に使った古いみすぼらしいズックで、その下は、これも彼が高校の時にはき古したつぎはぎの靴下でした。その足もとへタライを持っていって「さあ、ここへ足を入れて」というと、母親はいわれるままに靴下を脱ぎました。彼は右手でその足を洗おうと思い、左手で母親の足を握りました。靴下の中からでてきた母親の足は、あかぎれの跡のある固い、本当に思いもかけない程の小さな足でした。その足を洗っているうちに、やがてそれがボーとかすんできます。「この足が自分をこれまで育ててくれたんだ」と思うと、その学生は涙がでてとまらなくなりました。そして、とうとうがまんしきれずに母親の足の間に顔をうずめて「ワッー」と泣き伏してしまいました。
毎月送ってくれる学費を「あたりまえ」のようにして使っていだけれど、あの金はお母さんがこんな固い足になって送ってくれていたのかということが、今初めてわかったのです。今まで気づかなかった親の恩を、握っている固い足を通してはっきりと知った彼は泣かずにいられなかったのでしょう。恩を感じる素直な「感謝のこころ」が生まれたのです。
翌日、いわれた通りの時間に社長のところに行ったその学生は「感謝の大切さを初めて知ることができました」と、うれしそうに社長にお礼を述べたということです。そして、礼をいって帰りかけると「君のような青年を探していたんだ。是非この会杜で働いてくれ」と社長に懇願されて、今は母親と共に暮しながら仕事にはげんでいるという話です。