第93回「イエスアンド法」(2015.6.23掲載)

みなさん、こんにちは。株式会社アドバンテッジリスクマネジメントのキティこうぞうです。

仕事や生活で大きなストレスとなる「人間関係」は相手とのコミュニケーションを見直すと軽減されることがあります。今回は、そんなヒントになるコミュニケーションのテクニックで「イエスアンド法」についてお話しします。

みなさんは仕事の上司や部下、家族や友達と話し合ったり、アイデアを出し合ったり、意見を交わしたりするときに、こんなやり取りをしていませんか。
相手:「私はこう思うのですが、あなたはどう思いますか?」
自分:「いや、それは違います。○○の方が良いですよ。」
これは、相手の意見をいきなり否定していて、相手の中に「意見を完全に否定された」という印象が強く残ってしまいます。いきなり言い分を否定されると、相手はいい気持ちはしません。また、このようなやり取りが何回も続くと話す気持ちもなくなりますし、相手に好感を持つこともできなくなり、人間関係も悪くなります。

そこで、それを緩和するために利用するのが「イエスバット法」です。相手の意見をまずは認めて、その上で否定するという話法です。「いい意見ですね。しかし、○○というのも良いですよ。」と言うのです。これであれば、相手に「意見を認めてもらった」という印象が残るため、自分の意見が受け入れやすくなります。ただ、このイエスバット法は商品を売り込む営業マンがお客様に対して使うなどの交渉術としては優れていて、「相手を打ち負かす」ときには効果を発揮しますが、通常の会話で何回も使ってしまうと、やはり相手の中に「意見を否定された」という印象が残ってしまい、人間関係も悪くなってしまいます。

そこでお勧めなのが「イエスアンド法」です。これは相手の意見を受け入れた後に、「そして」や「じゃあ」や「それなら」などの接続詞でつないで、さらに自分の意見やアイデアを加えるのです。「いい意見ですね。それなら、○○というのもどうでしょう。」と言うのです。イエスアンド法であれば、相手には「意見を肯定された」という印象が残り、さらに自分の意見も受け入れてもらえるのです。以下はイエスアンド法の例です。みなさんも積極的に使ってみましょう。

相手:「今年の夏休みは久しぶりに海に行こうか。」
自分:「久しぶりに行ってみようか。じゃあ、休みをとるよ。」
相手:「みんなで楽しく車で行こうか。」
自分:「いいね。それなら、私の車で行こうか。」
相手:「海岸でバーベキューもやりたいな。」
自分:「そうしよう。そして、トウモロコシも焼こうよ。」

このようなイエスアンド法であれば、相手も自分も肯定されたという印象が残り、良好な人間関係を保つことができます。

いずれにしても、無意識のうちに相手と自分とを差別化しようとか、自分を優れたものとして見せようとする気持ちが「相手を否定する」という行動や言動を生み出すのです。コミュニケーションの基本は「相手を受け入れる(受容)」です。周りの人との人間関係を良好にするためには、まずは相手を受け入れる姿勢を大切にしましょう。

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