2月2日に東京しごとセンター(千代田区飯田橋)で開催された第29回明日知恵塾。学生27名、社会人16名が参加し、『社会人に必要なコミュニケーション能力とは』をテーマにディスカッションを行い、交流を深めました。
今回のプログラムは第1部と第2部で構成。第1部では、「社会人の1日」をテーマに、普段は垣間見ることのできない働く現場を紹介していきます。 プレゼンテーションを行ったのは、日本メックス株式会社のエンジニアリングサービス本部に勤務する三浦隆一さん。入社13年目で、現在は維持管理業務を担当しています。
三浦さんの主な業務は、(1)建物総合管理、(2)FMコンサルティング、(3)建築・設備工事の3点。担当エリアの社宅を中心に、清掃業務、保管作業などをトータルで管理しています。 三浦さんが社宅排水管清掃の現場に立ち会ったときの1日のスケジュールを実際に見てみましょう。
8時30分:現地集合
8時45分:KY活動実施(作業手順を確認し危険工程の説明)
9時00分:作業実施(室内作業のため養生段取り必須)
昼食(作業員の方との意見交換等)
13時00分:継続作業
16時00分:作業終了、後片付け
16時30分:業務終了
※会社近傍なら帰社
三浦さんの仕事はデスクワークのウエイトも高く、業務報告書の作成などにも多くの時間を割いているそうです。
第2部では、『社会人に必要なコミュニケーション能力とは』をテーマに学生と社会人がディスカッションに臨みます。ナビゲーターを務めたのは、法政大学大学院の藤村博之教授。藤村先生から発表されたはじめの議題は「コミュニケーションで失敗したこと」。A~Hの8班により、ディスカッションのスタートです。
各班では、グループリーダーとして選出された社会人が進行役を行っていきます。本題に入る前にまずは自己紹介から。社会人は出身地や仕事内容などを、学生は出身高校やサークル活動、バイト先などを伝えていきます。
自己紹介が終わると、本題となるコミュニケーションの失敗談へとディスカッションが進みます。ディスカッションといっても堅苦しい雰囲気はありません。ときには本題から話の内容がずれてもOK。普段は聞きづらい社会人への質問などもできる場になっています。
それでは各班から出た失敗談を見てみましょう。
- イメージが共有できず、内容がずれて伝わった
- 先輩に気を遣うあまり連絡を怠り、逆に怒られた
- 関西では相手を「自分」、関東では本人を「自分」と呼ぶため違った捉え方になった
各班から一番多くあがった失敗の原因は、“確認不足”。藤村先生はその中身をさらに掘り下げるために、「どうして確認不足は起こるのか」へとテーマを移していきます。藤村先生は「抽象論に陥らずに、リアリティーを持った議論を」と注文。各班はその指示を受けて、仕事やバイト先などでの実体験に基づいて、話を進めました。 その結果あがった意見は以下のようなものです。
- 人によって認識や思いが違うことが理解できていないから
- 終わりのイメージが共有されずに、抽象的に物事が進んでいるから
- 「面倒くさい」「相手が嫌い」など、自分中心の考えを持っているから
これまでの議論を踏まえたうえで、藤村先生はコミュニケーションを円滑に進めるポイントとして“2往復”というキーワードを上げ、グループディスカッションを締めくくりました。
「コミュニケーションを円滑に進めるためには、言葉を2往復させるように心がける必要があります。質問に対して回答するだけでなく、“なんでそう思っているの?”などの言葉を足すことで、相手の真意も聞き出せるようになります。1往復で終らせずに2往復させること。それがコミュニケーションを上手に進める基本です」