情報労連は11月8日、都内で「5G時代のネットワークビジョンとデジタル・トランスフォーメーションへの対応」をテーマに、ICTSフォーラムを開催しました。労組関係者や会社の担当者など約250人が参加。情報通信と情報サービスの今後の展望について知見を共有しました。
フォーラムの冒頭あいさつした情報労連の後藤副委員長は、「情報通信と情報サービスの融合が進んでいることを踏まえ、情報サービスフォーラムとして開催してきたものを、今年から新たにICTSフォーラムとして開催することにした。新たな技術の進展と活用範囲の拡大が続いており、その変化は5Gの出現によってさらに加速しようとしている。今回のフォーラムを踏まえ、事業のあり方、スキル形成、働き方などの参考にしてほしい」と述べました。
■5G時代の到来
続いて、情報通信総合研究所の岸田重行上席主任研究員が「5G 時代の到来と、通信政策の今後」と題して講演しました。
岸田氏は4G 時代までの通信政策と5G 時代の通信政策の違いを解説。「4G 時代までの通信業界は、消費者を軸としたシステムが確立し、その中で、設備・販売・料金競争が行われきた。従って、通信政策の目的は主に通信事業者の競争促進だった」と指摘。その上で、「5G時代には通信とITの融合が進むことによって、多様な設備投資の主体が登場する」とし、通信業界のシステム変化に伴って通信政策も変わると指摘しました。
■DXの推進を
次に、経済産業省の商務情報政策局ソフトウェア産業戦略企画官の和泉憲明氏が「『2025 年の崖』問題を克服するためのDX 推進政策の展開」と題して講演しましたた。
和泉氏は欧米などで進むデジタル・トランスフォーメーション(DX)の事例を紹介した上で、「DX はすでに始まっている。これからの課題ではなく、現在の課題」と強調。DX の拡大に向けては、「高い技術力を持っていても、社会がその価値に気付かないと受け入れられない。テクノロジーで勝っても、ビジネスで負けては仕方ない」として、「いいタイミングでサービスを提供することが戦略的なポイントになる」と指摘しましたた。
また、日本のIT 関連費用の80%が現行ビジネスの維持・運用に割り当てられている現状を紹介し、ソフトウェアの新規開発に投資を振り向けるべきと強調しました。
フォーラムでは最後に、情報労連の北野書記長が情報労連のICTS 政策を紹介。産業の健全な発展に向けて、事業者団体などと連携していく考えを述べました。