12月5日(土)、第40回の節目となる明日知恵塾が全電通労働会館(東京都千代田区)で開催されました。今回の参加者は、学生15名、社会人10名の計25名。A~Dの4つのグループに分かれ、学生と社会人が意見を交わし合いました。
明日知恵塾の特徴は、普段は知ることのできない仕事の裏側を垣間見られるところ。プレゼンテーションとグループディスカッションの2部構成で進められ、社会人が、それぞれの立場や経験から働く実情を伝えていきます。
第1部のプレゼンテーションに登壇したのは、通建連合日本コムシス労働組合の瀧澤拓未さん。「通信建設業界って?」をテーマに通信建設の業務内容を解説します。
普段、不自由なく使用している携帯電話。その携帯電話が、国内に張り巡らされた通信網によって支えられていることを知り、通話できるありがたみを再確認。社会インフラは、人の力が合わさり、支えられていることを思い知らされます。
瀧澤さんは、仕事のやりがいを感じるためには次の3点が重要だと言います。
- この仕事は自分にしかできない
- プロとしてプライドを持つ
- 仕事といえど遊び心を
仕事に誇りを持ちつつ、余裕も失ってはならないのかもしれません。
第2部のグループディスカッションのテーマは、「仕事で失敗したらどうするの?」。進行役を務めるのは、明日知恵塾の発起人、法政大学大学院の藤村博之教授です。藤村教授は、仕事やアルバイトでの失敗談をそれぞれが披露しあったあと、チーム全員で失敗に至った原因を突き止めるように指示を出します。
いよいよ、学生と社会人とのディスカッションのスタートです。
社会人は、失敗談を暴露するのを躊躇するのかと思いきや、「失敗の数なら誰にも負けない」と自慢気に話し出すツワモノも。若き日の失敗の傷は癒え、笑い話にできる心境なのかもしれません。学生も負けずに、アルバイトやサークルで体験した失敗談を披露します。
それでは失敗に至った原因としてあがった代表的な意見を見てみましょう。
失敗に至った原因
- 忙しく、余裕がない
- 認識の食い違い
- コミュニケーション不足、確認不足
- 慣れ
学生と社会人から失敗談が出尽くしたところで、ディスカッションは成功談へとシフト。失敗から成功を導き、そこから感じた仕事のおもしろさを話し合っていきます。
成功した武勇伝はテンションが高まるのか、どのグループからも笑い声が聞こえてきます。社会人は数ある失敗を糧に、その経験を通して成長してきたのでしょう。
各グループからあがった「仕事のおもしろさ」をピックアップしてみます。
仕事のおもしろさ
- 成し遂げたときの達成感
- 困難な問題が解決できたこと
- 人の役にたっていると感じられたとき
- 仕事で感謝されたとき
藤村教授は、“はたらく”とは“はた(周り)”を“らく(楽)”にするものだと言います。誰かに役立っていることが、内的なエネルギーとなり、仕事のおもしろさへとつながるとのこと。人間は社会的動物であり、仕事は人と人との関係性のなかで成り立つことを理解する必要があるようです。
また、藤村教授は、困難な仕事ほど、おもしろみを感じるのだと言います。
「現代社会では、仕事の効率化を追求するため、多くの業務はマニュアル化されています。マニュアル化の怖い点は、自分自身で考えなくなるところ。マニュアル通りに仕事をしていれば責任が問われないため、徐々に思考が停止していきます。仕事のおもしろさや達成感は、困難な仕事をやり遂げるために、考え、考え、考え抜き、大きな山を乗り越えたときに生まれます。仕事をおもしろくしたいのなら、考えることから逃げてはなりません」
何度も失敗を繰り返し、そのたびに何度も何度も考え、苦労のすえに成し遂げた仕事は、つらくとも最高におもしろいのかもしれません。